「伝える楽しさ、伝わる喜び。」
コミュニケーションに障がいのある方を主な対象としたアプリは既にいくつか発売されていますが、値段が高価であったり複雑すぎたりと使いづらいものが多く、現場では十分に生かしきれていないというのが現状です。
もっと簡単に、伝える楽しさと伝わる喜びを言語障がいのある方にも味わってもらうことはできないだろうか、という思いから、「ねぇ、きいて。」が生まれました。
私たち鳥研(愛知工業大学・鳥居研究室)が開発したこのアプリは、自閉症や言語障がいを持つ方のコミュニケーションを助ける、安価で使いやすいAAC(補助代替コミュニケーション)ソフトウェアです。「ねぇ、きいて。」をiPhoneやiPod、iPadにインストールするだけで、言語に頼らず、誰もが簡単に楽しくコミュニケーションをすることができます。
「より安価に、より楽しく。」
使用場面を「…したい」「…ほしい」といった基本的な要求に絞り、機能を最小限に押さえることで、より簡単な操作性を実現しました。ワンタッチで要求が伝えられる簡便さは、他のコミュニケーションアプリには見られない利点です。
また、自閉症の方や失語症の方などコミュニケーションに困難のある方の他に、小さなお子さまの言語教育にも役立つ内容となっています。「お笑い」や「効果音」など、ユニークな内容を盛り込むことで、自然に触ってみよう、使ってみようという興味が湧く仕組みになっていることも特徴の一つです。すべてのイラストは幅広い年齢層に受け入れられるように、わかりやすく親しみやすいデザインを追求しました。
「あなたから、そして私から。」
「ねぇ、きいて。」には、2種類のモードがあります。
[サポーターモード]は、支援者からコミュニケーションをスタートするためのモードです。
[使用者セルフモード]では、使用者が自らの要求を音声で伝えることができます。
[サポーターモード(支援者が使用者に提示する)]
重度の知的障がいのある方にとって、多数の選択肢(伝えたい内容)の中から自分が必要とするものを見分けて選ぶことは、大きな困難を伴うと思われます。
この“サポーターモード”では、あらかじめ支援者が使用者の実態と状況に合ったシンボルをいくつかピックアップすることで、より簡単に意思の疎通を図ることができます。
使用者が支援者によって選択されたシンボルの中から、自らの要求に合うものにタッチすると、二語文(選択したシンボル名と述語)の音声が発せられます。ピックアップするシンボルの数を1から4個に限定することで、選択を容易にし、使いやすい操作性を実現しました。
[使用者セルフモード(使用者が自ら操作する)]
使用者が操作方法を学習したら、“セルフモード”で使用者本人がカテゴリやシンボルを使って直接要求を伝えることができます。このモードでは、反応する部分を広く取ってあるので、障がいのある方でも簡単に操作できます。
愛知工業大学 鳥居研究室
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